STAY HOMEで発酵を学ぶ
STAY HOME
お家時間をどのように過ごされていますか?
私は、下北沢のBONUS TRACKという場所に、4月1日OPENする発酵デパートメントに行きたいと思っていたので、以前から気になっていた小倉ヒラクさんの書籍を読んでいました。
ご存知の方がほとんどだと思いますが、小倉ヒラクさんとは発酵デザイナーとして、「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指して活動されている方です。
発酵文化人類学
まず1冊目は、2017年に出版された発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチを読みました。
第1章からややこしい発酵の話を、身近なものに例えるところが面白くて、思わず一人で笑ってしまいました。
乳酸菌や酢酸菌は、合コンをセッティングしてもらって、周りから「こいつ超いいヤツなんですよ〜」と持ち上げられ、さらにお誘いのメールを代筆してもらってはじめてデートができるシャイなボーイ&ガール
対してカビは、相手に恋人がいるのを承知でデートに持ち込んで略奪愛をサクセスさせるようなアグレッシブ系の微生物
という部分で心を捕まれ、話しかけるような独特の言い回しもあり、小倉ヒラクさんのワールドにすっかり入り込んでいました。
しっかり集中して読まないとなかなか入ってこない部分もありましたが、人と人との関わり、社会の成り立ちが、全て発酵・微生物の世界で語られており、発酵の奥深さを学ぶことができました。
日本発酵紀行
2冊目は、2019年に出版された日本発酵紀行を読みました。
D&DEPERTMENT PROJECTから出版されており、私はもともとD&DEPARTMENTがとても好きだったので、紙の質感も手に馴染みやすく、途中でいくつか出てくる写真もすばらしく、何度も読み返したくなる本です。
そして、この本は小倉ヒラクさんが47都道府県の発酵文化を訪ねた旅行記となっているので、1冊目の発酵文化人類学よりも読みやすく、発酵を通して日本それぞれの土地の歴史や特徴を知ることができました。
この本を読み、状況が落ち着いたら「現地に行って食べてみたい」と思うものがたくさんありました。
その土地でしか食べられないもの、その土地で食べるからこそ、風景や体験を通して感じる特別な味を、自分の身体で体験してみたいと思いました。
今、外出できないからこそ、あれがしたい・これがしたいがたくさん出てきます。
「いかに死なずに生き延びるか」が至上命題とされた時代が終わり、成熟した日本に生きる僕たちの次の命題は、「いかに希望を持って生きられるか」になるのだろう。・・・暮らしのなかの暗さに目を凝らそう。そこには過去から命をつないできた、忘れられた存在の、忘れられた小さな光が瞬いている。耳を傾けて、思い出そう。まだまだ過去とのつながりは断ち切られていない。過去とつながっているということは、未来への道があるということだ。危機の種類が変われば、希望もまた変わる。
という最後の文章が、今、まさに必要なことのように思えて心に響きました。
そして、今のこの状況を、小倉ヒラクさんはどのように捉えておられるんだろう、と聞いてみたくなりました。
発酵デパートメントまで自転車でいける距離なので、落ち着いたら天気のいい日にお散歩がてらお邪魔したいなと思います。